瞳の向こうへ

「彩佳はいいなあ。あたしは、コケて膝擦りむいて朝一保健室直行よ。もーサイテー!」

痛々しい右足を上げて黒の靴下を取った。

「ひどいね……」

思ってたよりは少しひどそうだった。

ばんそうこうではなく、ガーゼを厳重にテープでとめてた。

「あたしの不覚その一はムカつくからこれで話さない」

「まだ何か?」

「ケガの報告ついでに期末テストの結果をどこよりも早く聞き出してきました」

「あら、さすが」

不機嫌な割にはちゃっかりやることやってるんだから。

「もう一つの不覚はこの野球少年よ」

青柳君は自分に矛先が向けられるや手を万歳に。

「何すか?俺は悪いことしてないっす」

「三回聞き直したし。あたしが学年五位。快が四位。葵が三位だって」

その発表を聞いた瞬間、青柳君は私をしばし見つめたあと小さくガッツポーズ。