瞳の向こうへ

『でもな、外はまだ寒いなあ。先生も風邪ひきそうだな』


あらら。予想に反してますね。


「先生も年ですから」


『言ってくれるなあ。お、そろそろ時間だし。もう一つの連絡は、お前クラスの副委員長に決まったぞ』


「……ええ!!」


驚きのあまりベッドから転げ落ちてしまった。


頭強く打ったよ。


そんなあ……。


ひどすぎるんですけど……。


『ごめんな。どうしても今日決めたかったし、あ!委員長は揉めたが、唯か尚太かになって、尚太に決まった。で、副委員長は誰にしようと考えたが、満場一致で葵になりました。まあ順当だなってみんなの意見だったぞ。それじゃお大事にな』


早口で一気に結論を言って電話を切られた。


何回副委員長やれば気が済むのか。


ああ!風邪のバカバカバカ!!


……そうだ。風邪を恨んでいる場合じゃない。


例のあれに備えて早く身体治さないと。


今年こそはという思いが強いので尚更焦る。


おとなしくベッドに戻り、少し開きかけの遮光カーテンを閉めてベッドに潜り込んだ。