それから気付けば天界に瞬間移動したようで、タミエルもどこかへ消えていた。
白くて冷たい床が、私の不安感を煽り始める。


「お前が見習い天使か。」


ふと顔を上げれば、タミエルと同じくらい綺麗な顔をした天使が立っていた。タミエルとは違うのは、色気と言おうか、妖艶な雰囲気を纏っているところだ。


「私の名はガブリエル。お前は……サラ…というのか。」


「えっ、あっはい!紗羅と申します」


明らかな私の挙動不審ぶりに、ガブリエルは微笑んでいるように見えた。その唇が緩やかな曲線を描くのを、うっとりと見つめてしまう。


「早く慣れるのだな。ウリエルなどは大天使の中でも特に厳しい。あいつに気に入られなければお先真っ暗だ」


その言葉に青ざめる私を見て、クスクスと笑うガブリエル。



「では準備はいいな?」