天ノ月

次々と矢を放ち、地を浄化してゆく。

それにあてられた様に消滅していく悪魔たち。
しかし如何せん数が多いため、減っているようには思えない。

ちらりとタミエルを見ると、タミエルの周りは既に一掃されていた。


(…え?なに、この差)


目の前の虫たちを見やる。

そして、あぁ、と少し納得した。


(そっか…。つい癖で、込めた聖力を全部加速するために使っちゃってるんだ)


通りで勢いよく地面に刺さると思った、と馬鹿丸出しな思考に苦笑する。

次は出来るだけ純粋な聖力を込め、それを使用しないようにしつつ放とう。

作戦を改め、穏やかに弓を引くと悪魔たちが少しだけ退いた。
そして、誘われるままに指を矢から離す。

シュワッという心地いい音と共に、悪魔が一斉に消え去ったのを見て顔が緩んだ。

そのままの勢いで次々と悪魔を射ていく。



───…どれくらい経った時だったろうか。

くらり、眩暈がしたと思うとそのまま膝を地についた。
聖力が尽きてきたのだろうか。

タミエルを呼ぼうと思ったが、そんな私より早く悪魔たちが動いた。

素早く私を飲み込むと、そのまま下へ下へと引っ張っていく。