天ノ月

「いいですか?これから行う御勤めはとても危険です。何かあれば僕にすぐ助けを求めて下さい」


ひとしきり私を叱った後、タミエルは真剣な顔をしてそう言った。

そんな危険な御勤めから始めることないのに、という私の呟きを見事にスルーしてタミエルは続ける。


「聖力が無くなると非常に危険になるので、無理はしないでくださいね」


「…うん。」


いまいち納得していない私を、タミエルが再び引っ張り歩きだす。


「今回の御勤めは悪魔の排除です」


悪魔、という単語にぴくりと体が反応した。
…悪魔と言えば天使と相反する存在ではないか。


「そんなの天界にいるの?」


「いるんですよ。天界の果てともなると、徐々に侵食してくる低級悪魔たちがね」


「…もしかしてその悪魔たちって人型?」


「まさか。上級ともなると人型で美麗な輩もいますが、力を持たない悪魔なんて虫みたいなものですよ」


「そっか…。虫、かぁ。それなら私でも消せるかも!」


そして数分後、私はその"虫"の多さに腰を抜かすのであった。