天ノ月

「顔がだらしないですよ。ほら、神殿へ戻りましょう」


呆れ顔のタミエルに慌てて着いていく。

本来天使たちは各々割り当てられた御勤めをこなしているようだが、私は新入りということでパスしていたわけだけれど。


「ねぇ、御勤めって何をすればいいの?」


タミエルと共に飛びながら、疑問を口にする。
私はまだ知らないことが多すぎると実感した。


「…それは、勿論個々の能力に合わせたお仕事ですよ。心配せずとも貴方向けの御勤めは山ほどあります」


ニヤリと意地の悪い顔を浮かべるタミエル。
そして小悪魔の様な微笑みで再び口を開けたと思えば。


「まぁ貴方にはもっと難易度の高いものをやってもらいますけどね。何せ大天使になるお方ですから」


「……ちょっと、御勤め中に死んだらどうすんの」


「生まれ変わるだけでしょう。支障はありません」


さらりと言ってのけられた。
この天使と付き合うには命がいくらあっても足りない。