天ノ月

「…うん。」


「……呼ばれれば僕から行ったのに。もうこんなことしないで下さいね」


タミエルが私の頭を撫でる。
傍から見れば、恋人同士に見えそうだとぼんやりと思った。だが当人達にはそんな気持ちが少しもないから滑稽にも思える。


「…これ、私を守ってくれたよ」


私がブレスレットを見せると、タミエルはそれに指を滑らせた。


「それは良かった。僕の聖力が尽きるその時まで、これはサラを守ってくれますから」


「タミエルより頼もしいブレスレットだね」


二人で笑い合う。
私の心は落ち着きを取り戻しつつあった。


「…早めに休んで聖力を回復させておいて欲しかったのですが…。体調は大丈夫ですか?」


私の顔を窺うように見るタミエル。
ガブリエル様もタミエルも優しくって嫌になりそうだ。


「んー…。ちょっとダルイかな。」


正直に答えれば、タミエルの膝の上へ抱きかかえられた。


「では神殿まで送ります」


言うや否や、タミエルがふわりと飛び立つ。
私はタミエルに身を委ねたまま、目を瞑った。