天ノ月

遠回りをして更に奥まで進むと、私は立ち止まり大きく息を吐いた。


「……怖……ぅー…」


嗚咽が漏れる。
静かに涙が零れ落ち、拭うこともせずそのままにしておいた。


「…貴方は本当に馬鹿ですね」


頭上から聞こえた声に、ピクリと体が反応する。
見上げれば、私の探していた人物がいた。


「タミエル…?」


「ほら、ここら辺も危ないですから彼方へ」


タミエルが手を伸ばしたから、私はその手を取り彼に身を委ねた。

そんな私を心配そうに見た後、タミエルは優しく頭を撫でてくれる。


「飛べます?」


「…飛ぶ気力ない」


タミエルが笑い、私を抱きかかえたまま飛び始める。
タミエルと触れている部分がとても温かくて、再び涙が零れた。


「…で、あんな所で何してたのですか。…僕に会いに?」


昼間に来た大岩に、二人で寄り添うように座った。