天ノ月

「…ミカエル信者なのか」


ガブリエルがクスクスと笑う。


(あの馬鹿…)


明日会ったらタミエルを殴ろうと、ミカエルの優美な後ろ姿に誓った。


「…ところで身体は大丈夫か?何か異常があればラファエルを呼ぶといい」


「あ、いえ。特に異常は…。ラファエル様の御手を煩わせるようなことはないです」


「そうか。なら早く一人前の大天使になるのだな。お前にやってもらわねばならない御勤めが山積しているぞ」


そこで苦笑いを返せば、ガブリエルが目を細めて笑った。優美すぎて眩暈がしそうだ。


「では私は戻る。お前も体を休めておけ」


「はい」


ガブリエル様が足早に自室へ戻っていく。
私はある決意を胸に、再びエントランスへ向けて歩き出した。