天ノ月

「こらこら、何をしている」


ガブリエル様が私とアザゼルの間に立っていた。
大天使ともなると瞬間移動が出来るようだが、本当に恐ろしい能力だと思う。


「…えと、力くらべです…」


私が小さな声で言うと、アザゼルがクスクスと笑う姿が見えた。


「アザゼル、お前は戻れ。ここは神殿の前だ。遊ぶなら平原にしろ。」


「はい!」


アザゼルがシャキッと背筋を伸ばし直ぐに飛び立った。
いつものおちゃらけ具合はどこへやら。


「…サラ、行くぞ」


ガブリエル様が優雅に神殿へ入っていく。
私も彼に従いすぐに後に続いた。

目の前を行くガブリエルの髪が揺れる。


「ガブリエル様、」


「何だ」


「………あの、タミエルって下位天使なんですか?」


その言葉に、ガブリエルがこれまた優雅に振り返る。