天ノ月

「えっ」


「あいつ、あんま位高くないんだよ。でも大天使様たちには気に入られてる感じ」


「でも…だからって神殿に入っていいの?」


「神殿に結界を張っているのは大天使様だから、大天使様が許した相手なら出入り出来んの。だから俺は無理なわけ」


アザゼルが再び木の実を頬張る。

タミエルは下位天使だけど特別…?


「…そうなんだ。でも確かに実力はあるよね、タミエル。アザゼルなんて私が射た矢消せなさそうだし」


「は!?なに言ってんだよ!それくらい朝飯前だし」


「じゃあやってみよっか」


練習よりも真剣な顔で弓を構え、矢をアザゼルに向ける。
アザゼルは一瞬目を見開くと、顔を青くした。


「いや、ごめん、無理!大天使候補のサラの方が聖力高いに決まってるじゃん」


「地上ではね、男に二言はないって言葉があるの。大丈夫よ加減するから」


弓を引き絞る。
その次の瞬間、今度は私が瞠目した。