天ノ月

「…ありがとお。タミエル、見て。貰った!」


振り向いてみれば、タミエルは此方を見て微笑んでいた。


(あ、またあの顔)


悲しそうで寂しそうな目に、胸が苦しくなる。
なんでそんな顔をするのか分からないけど、だからと言って問う勇気もなかった。


「よかったですね。ではまた明日、部屋まで迎えに行きます」


「うん。待ってるね」


タミエルに手を振り、ため息を吐く。


「アザゼル。……ねぇちょっと、聞いてる?」


木の実に夢中なアザゼルの頭を小突いた。


「にゃ?何?」


「タミエルってどこに住んでるの?」


神殿にも立ち入ることが出来るから、そこそこの地位にいることは確かである。下位の天使に大天使の教育が任されるとも思えない。


「んー。確か俺らより質素な家に住んでるよ」


アザゼルが笑顔を崩さずに言う。