天ノ月

「……ウリエル様の話なんかしてたからかな」


ボソっと呟く。
どこかで聞きつけてここまでやって来たのでは、と思うくらいタイミングが悪かった。


「僕もまさか今来られるとは思ってませんでした。今会うのは時期が早いと思ったので…先延ばしにしましたけど、良かったですよね?」


「うん。出来ることなら一生会わずに済めばいいのに」


タミエルが苦笑する。
対峙すれば、あの雰囲気に圧されて一週間は寝込みそうだ。


「ではそろそろ再開しましょうか。弓を持ってください」


タミエルが優雅な仕草で岩から立ち上がる。
金色の髪が、光を反射してとても綺麗だ。

キリ、と弓を引き絞り、その美しい体躯に焦点を当てる。

タミエルがこちらを見て微笑んだ瞬間、私は矢を放った。


「遅い」


タミエルが呟くと同時に、彼の目の前でシュワっと音がして矢が消えた。


(あぁ、またダメ出し…)


かくりと肩を落とす。