「…お断りします」


私がそう言うと、ニコリと微笑んだ天使さん。
実際には、私は天使だなんて言葉は一切思い浮かべず、何の宗教団体の人だろうと呑気に思っていた。


「まぁ、そう言わないで下さい。こんなチャンス二度と来ないですよ?何と言っても今回は…」


「私、急いでますので!」


怒りを露わにしキッと睨みを利かせてみるものの、穏やかな雰囲気を纏った天使は笑顔を崩さない。


「では強制連行で。」


テロップを付けたら語尾には間違いなく星がありそうな口調で、そう呟いたかと思えば…


「きゃっ!ちょっと、やめて!触らな…い……え!?」


激しく抵抗する私の視界を突然埋めたもの。


(この"人"…羽根……がある…)


視界に広がる真っ白な羽根に、息を飲んだ。
光を反射して煌めくそれは、神々しくて思わず口を噤んでしまう。