天ノ月

「更に罪を重ねているようにしか見えないが?」


ウリエルが皮肉る。
私は話についていけずタミエルの指示通り暫し沈黙を貫く。


「貴方には関係ない。残りの日数は自由にさせてくれる約束でしょう?」


「…まぁいい。あの娘はどこだ」


あの娘、とはもちろん私のことだろう。
タミエルの表情が少し緊迫する。


「まだ貴方に会わせるつもりはありませんよ」


「…………」


その場を冷たい空気が覆う。
いたたまれなくて、でも動くことも叶わず岩陰でじっとしていた。


「…お前の意図は分からんが、確かにお前には自由をくれることを約束した。あの娘ともいずれ顔を合わすことになろう。」


ウリエルがため息を吐く。
タミエルは尚もウリエルを睨むような目で見つめている。


「では、35日後に例の間で待っている」


そう言い残すと、ウリエルの気配が溶けるように消えてなくなった。


「…サラ、もういいですよ」


タミエルが大きく息を吐いた。