「…それくらい確固たる意志を持っているのなら何も言いません。貴方の理想の大天使に近づけるよう、頑張って下さい」


(あぁ、もう。本当に飴と鞭が上手…)


その微笑みが、私の喜びの全てに変わる。
緩んだ頬を叩いて引き締めると、タミエルの近くの岩に腰掛けた。

タミエルは再び書物に目を通している。


「…ミカエル様に会いたいなー」


ぽつりと呟いてみる。
本当は、稽古もミカエル様につけて欲しいなんて。


「彼は忙しいのだから無理を言わないで下さい。」


分かってる。
分かってるんだけど。


「でも会いたいな」


「…すっかりミカエル信者ですね」


呆れたように苦笑を漏らす。


「だってあんな他人を惹きつける人初めて会ったんだもん」


顔も見たことがないくせに、と自分でも思う。
それでもミカエル様は私の心を惹きつけて止まない。