「あ、こら!横着しない!」


花々の咲き乱れる野に響く、怒声。
もちろん発しているのはタミエルで、浴びせられているのは私な訳だけれど。


「だってこれ凄く難しいよ!?大体さぁ、飛ぶのだってまだまだなのに」


「飛ぶのは見事だったと褒めたでしょう!大丈夫です。それより貴方のその鈍った身体をなんとかしないと」


タミエルが用意したのは剣、弓矢、槍。どれか一つでも習得させようと粘っている彼は、ため息ばかり吐いている。


「真面目にやれば君は優秀です。ほら、もう一回弓矢持って。ぐずぐずしないで下さい」


飴と鞭を使い分けるのが本当に上手な彼は、遅いけど着実に私を鍛えていった。
中でも上達したのは弓矢で、人間時代から憧れていた弓を引き絞ることが出来て私は少しご満悦。

なによりタミエルが、私は弓のセンスが良いと褒めてくれたのだ。


「休憩しましょうか。降りていいですよ」


タミエルが表情を和らげ、私も気を緩ませた。
彼は近くにあった大岩に腰掛けて早々書物を読んでいる。