「……と…った。」


「何ですか?よく聞こえな…」


「綺麗だった!」


地面に降り立った私の手を取り、高揚しながら言うアザゼル。


「聖女みたいだった!サラ、やっぱり君大天使に向いてると思う!」


彼の爽やかな笑顔が、心のわだかまりを取り去ってくれる。

私は薄い笑みだけを残して立っていたタミエルの方を向きピースをした。


「アザゼル、気安く大天使に触れていいと思うなよ?」


タミエルが笑みを浮かべたまま言い放つと、アザゼルは渋々私の手を放す。
先程からギャップが甚だしい。


「じゃあ帰りますか。サラ、おいで」


タミエルが優しく微笑んで、手を差し伸べた。

陰鬱な雰囲気な私を気遣ってくれていることを何となく感じ、タミエルに心の中で感謝する。

駆け寄ってタミエルの手を取ると、彼は満足気に微笑んだ。


「言ったでしょう。僕が傍にいる限り、何も心配は要りません。」


タミエルが前を向きながら言う。
私の思考は彼に筒抜けな様だ。