「さぁ、ここでいいでしょう。まず羽根は動かせますか?」


丘の上に立ち、羽根を微かに動かしてみせる。
そしてタミエルはそれに満足そうな顔をした。


「うん、大丈夫そうですね。では頭の中で、羽ばたくイメージをして下さい。そしたらそのまま駆け下りる!」


言われた通りに駆け出し、丘から飛び降りる。

重力を痛い程感じながら羽根を思いっきり動かすと、瞬時に訪れた浮遊感。


「サラ!」


タミエルの嬉しそうな声に振り返ると、斜め下でタミエルが微笑んでいる。

その笑顔に私も自然と破顔すると、アザゼルが口を開けポカンとしていることに気づいた。

タミエルも直ぐ私の視線に気づき、アザゼルの腕をつついてみる。


「アザゼル?」


何だその間抜けヅラは、と言いたそうなタミエルに思わず笑みが零れる。