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───ハッと目を覚ますと、白い光に包まれた部屋が浮かび上がる。
寝ぼけ眼で携帯電話を探すが、そこにあるのは光のみ。
思わず自分が死んで、天国へ来たのではないかと疑うが……
「そっか。ここ、天国だった…」
思わず浮かべた自嘲的な笑いは、私の心の奥に潜む未練からきたもので。
「起きなきゃ、怒られちゃうわ。トレーニングもしなきゃ…」
憂鬱そうに独り言を呟いて、気を紛らわせる。
そう、未練なんてあってはいけないのだから。
(そろそろ一週間かな、タミエルと初めて会ってから…)
起き上がり白い靴を履きながら、彼の顔を思い浮かべる。
地上に降りて来たタミエルという天使は、私にこう言った。
『天使になってはみませんか?』
