タミエルの優しい言葉で緊張が解れ、ゆっくりと出入り口へ近付いていく。

タミエルが囁いた情報によれば、この神殿に立ち入れる天使は限られているそうだ。

そして神殿の一歩外に出ると、一気に広がり始める世界。
神殿は天使達の住居に囲まれどこか孤立した雰囲気があるが、その周りはまるで…


「サラ、こっちです」


優しく微笑むタミエルが、遠い。


(何でこんな、時に…)


一気に胸の奥から溢れてきた孤独感と、後悔になす術もなく。ただ頭の中で繰り返されるあの言葉。


『もう後には戻れないぞ?』


ガブリエルの、あの艶かしく覇気を纏った声を今更反芻する。

人間ながら天使にさせられたこの身が私の心を蝕む。


(なんで私、こんな所にいるんだろ)


次第に瞳が虚ろになっていく。
本当に、今更すぎるけれど。

後悔の波は一気に押し寄せ、引くことを知らないかのように胸に蔓延っていく。