「…馬鹿?よくもこの僕に馬鹿なんて…!」


憤慨するタミエルを尻目に、私はスタスタと先を歩いていく。


「サラ、待って下さい」


「タミエル!」


私がタミエルに返事をする前に、誰かが彼の名前を呼んだ。

声の主はこの建物の外にいるようで、目の前にある出入り口にシルエットだけが浮かんでいる。


「お、その子が新しい大天使様?可愛いじゃん!おいで、こっち!」


ぶんぶん手を振る天使に、何となく警戒をして立ち止まる。


「大丈夫、僕がついていますし、あの天使は無害です。ですが…」


後ろから来たタミエルが立ち止まり、私の手首に手をかざしゆっくりと呟く。


「中には悪意を持って貴方に近づく者もいるでしょう。初めての女天使ですからね。これはその様な天使から貴方を守ってくれます。」


タミエルの手が退けられると、そこに綺麗なブレスレットが付いていた。


「さぁ、行きましょう。きっと受け入れてくれますから」