天ノ月

「あの方は大天使です。もう御使いとしての仕事に戻ってますよ。彼は戦いを司る天使ですから、私達下級の中の下級天使よりも遥かに忙しいのです」


「へぇ…。じゃあガブリエル様は…」


「待って下さい、サラ。僕はまだ貴方に伝えていない重要な事を話さなければなりません。」


真剣な顔で言われ、口を噤んで若干不安になりつつ姿勢を正す。


「貴方はもう天使ですが、貴方が目指すのはもっと上…ミカエルやガブリエルのような大天使です。」


(それって…彼らと同じ地位に、上り詰めろ…と?)


無理だ、という結論に至り、肩を落とす。
そんな私を見てタミエルは微笑んだ。


「ですが、大天使は生まれながらにして大天使。いくら足掻いても我々は大天使にはなれません。」


「じゃあどうやって?」


「そう、それこそが貴方に訪れた最強の幸運!今回、貴方は大天使になることを前提に天界へ招かれたのです。」


おめでとう、と拍手を私におくるタミエルに白々しい目を向ける。


「何で私みたいな人間がそんな偉い天使に…?」


純粋に、不思議に思った。