天ノ月




「……サラ……起きて…」


「…ん…?」


重い瞼を開け斜め上を見上げると、心配そうな顔をしたタミエルと目が合った。


「私………天使に…」


「はい。貴方はもう立派な天使です。背中に手をあてれば分かりますよ。」


まさか、と思いつつ背中に手をやると、しっかりと伝わる羽根の感触。

私はもう、人間では、ない。


「そっか…。あの…ミカエル様は……?」


「ミカエル様…?あの方がどうかしましたか?」


「…ミカエル様が、私を天使にして下さったから…」


あの澄んだ声を思い出す。
タミエル程優しさは含んでいないが、穏やかで鋭くて洗練された声と雰囲気だった。