「じゃあ、僕達が日本防衛軍に駆け込んだら防衛軍としては助かるよね?おっちゃん、そうしようよ」 

「お前、本物の馬鹿野郎なんだな・・・・」

「どうしてだよ?」

 馬鹿野郎と言われ過ぎて僕はキレそうになった。 

「いいか、坊主。組織ってもんにはなあ、綺麗事なんて無いんだよ。今だって防衛軍が既に活動しているなんて事実は公には無いんだぞ。そこに俺らがノコノコと顔を出してみろ。良くて拉致。悪けりゃその場であの世行きだ。秘密ってもんはなあ、そうやって守られるんだよ、分かったか?」
 
 僕の提案は、おっちゃんによって呆気なく却下された。

「建物の裏の道路へ回れ」 
 おっちゃんの指示により、馬鹿野郎の僕はハンドルを左に切った。

 裏は駐車場になっており、10台程度しか入らないその敷地には、土埃や何処から飛んで来たのか分からないような葉っぱが散乱していた。 

「やっぱりな・・・・」

「何がやっぱりなの?」

 おっちゃんは、駐車場の左側のほうを顎でしゃくった。