「キュンキュン」
「あ、お前のこと忘れてたのだ!」
フランが来て構っていたためうさぎのことをすっかり忘れていたセシル。
「そうなのだ。いつでに森に帰すのだ。」
「キューン」
「ふふふ、うれしいのか?私も嬉しいのだ~」
うさぎを抱えてクルクルと回る。
空元気だということは解っていた。でもそうでもしないと寂しさで涙が出そうだった。
ホークのような隠し武器を手に取って腰に仕掛ける。
「さて、行くのだ。楽しい楽しいフィマーレサーカス団に」
ーー森ーー
「ここでバイバイなのだ。」
光が届く緑が生い茂る街から近くの森。
地面にそっとうさぎを置く。
うさぎは地面に降りるとセシルを振り返ることもなく走り去って行く。
「バイバイ・・・」
もうあのうさぎと会うことはない。
セシルもうさぎの去って行ったほうを背にして街に足を踏み入れる。
街は静かだった。
誰一人としていない。
だって今日は週に一度のフィマーレサーカス団の日なのだから。