「ハァ・・・ハァーーー」

足を引きずりながら何とか森までたどり着いた。

足からは無理して動いたせいか血がまだ出ていた。


「うぅ・・・ここなら大丈夫なのだ。」


木の根に腰を下ろして一休みする。
今日は幸いにも金曜日。街には誰も居ないのでゆっくり休める。


「おやまぁ、酷い怪我ですね。」


「ッ!」

誰も居ないと思って気が緩んでいたところに知らない人の声が聞こえたので思わず顔を見上げるとそこには・・・


燕尾服を身にまとい、
白銀に輝く髪を右に束ね前に垂らし、
切れ目の左側には片眼鏡をしている
何処からどうみても貴族に使えている執事だ。


「アンタ誰なのだ!」


「おっと、これはこれは失礼しました。私の名前はロイドです。つい先程貴女に助けて頂いた者です。」


胸に手を置いて軽くお辞儀をするロイド。
そんなロイドを見てこんなヤツ助けただろうか?っと記憶を手繰り寄せてみるが何故かフランのことしか思い出せない。
まぁ、関わった人間がフランしかないので当然と言えば当然なのだろうが。


「すまないのだ。お前のこと思い出せないないのだ。」


「ふふ、気にすることはありませんよ。なんせ、貴女に助けて頂いた私は仮の姿でしたから。」


意味深長な微笑みを浮かべながらシーっとまるで秘密の会話をするように声を下げた。

すると・・・