ソレは、山下小春の一周忌を迎えたその日だった。
教室での黙祷のあと、一年間、誰もが口に出せなかった言葉を口にしたのは、担任でもなく、いつも熱いアイツでもなく、もちろん僕でもなくて。
それは、山下小春のように男子に虐められていた、八木だった。
もう、誰も、自分を虐めることのない平穏な毎日を送りながらも、おそらく、一番、山下小春を思っていたのは八木だったのだと、僕はその時なぜか悔しくなった。
八木は言った。
「なあ、みんな、いい加減認めようよ。みんなもわかってるだろ。見て見ぬフリしてた俺らが一番悪いって、みんなもそう思ってきただろ?この一年間!」
少しずつ、色づき始めていたサクラが、また僕の目の前で、哀しく舞い落ちていった。


