アパート「寿荘」

父親は顔を真っ赤にした。今にも噴火しそうな山のようだった。


「もういい!!勝手に東京でもどこでも行け。但し二度と帰ってくるな。仕送りも一切せんからな。」


そう言うと父は寝室へと戻っていってしまった。

部屋から泣き声が聞こえて、太一は胸がくるしくなった。


「お父さんああ言ってるけど、本当は寂しいのよ。今まで自分に逆らいもしなかった息子が自分の意志をぶつけてきて、自立して遠くに行ってしまう事がよっぽどショックだったんだね。」



今まで父親とのバトルを観戦してた母親の優しい声が背後から聞こえた。