アパート「寿荘」

教室を出た太一を待っていた1人の女子がいた。
同じ軽音楽部の本田真由子だった。


真由子は太一とは別のバンドのボーカルで、伸びやかでよく通る歌声の持ち主だ。



彼女に憧れて入部した部員も少なくなかった。


小さくて大人しそうな見た目とは裏腹に、真由子のバンドはロック調の激しい曲ばかり演奏していた。