驚いて声の主を振り向けば、弟の和希君だった。

「和希君、ノックして下さいといつも言っています。」

瑞希って、弟にも丁寧に話すのか。
きのこ博士もそうだったっけ。
和希君は無表情のまま、閉めたドアにもたれかかって腕を組んだ。


「したけど。」

「返事を待ってから入るのが礼儀です。」


むっとした瑞希が、和希君を睨む。
俺はそれを見て、きのこ博士が言ってたのを思い出した。


『仲が良いくせに、2人とも意地っ張りで・・・会えば言い合いばかり。まぁ、下の子の方がいつも突っかかっていくんですけどね。』


会えば言い合い。
和希君が、瑞希に突っかかっていく。

まさにその通りだ。