もしくは。
瑞希が一人で家にいて、俺だって分かってて、出ない・・・?


『はい。どなたですか。』


俺を現実に戻す、男の声。
きのこ博士の声じゃない。

ってことは、前にちらっと聞いた、薬剤師の弟?
ま、まさか他の男が?!

俺は心を落ち着けて、名乗った。


「あ、伊東と申します。瑞希さんいらっしゃいますか?」

『伊東さん?』


名乗った途端、弟?の声は途端に不機嫌になった。
俺何かしたか?!

『少々お待ち下さい。』
「よろしくお願いします。」

カメラがついてるから、見えているだろう。
俺は頭を下げて、待つことにした。
出て来てくれると良い。

良くわからないが、弟?の不機嫌が気になるものの、俺の頭のほとんどは瑞希で占められている。