瑞希は何も言わない。

俺も、無言。

そのまま俺の戻るべき部署の前まで来て、アサガオの鉢を返す。



「ごめん。」



他に何も浮かばなかった。

たった一言だけ瑞希に告げて、俺は背を向けて歩き出す。
呆然とした彼女の顔だけが、まぶたの裏に焼きついた。