「幼い時、ずっと父の事でからかわれてきたんです。」

テレビにも出始め、司会者にもいじられ。
更にそっくりな顔のせいで、学校で散々からかわれたのだと。

「父の事が大好きなのに、一緒に居るのが恥ずかしくて。」

汚れた手では、震える肩を抱きしめる事は叶わない。



「・・・いい親父さんだと、思うよ。俺は。それに、恥ずかしくても、嫌いじゃないならそれでいいだろ。」



こぼれそうでこぼれなかった涙は、驚きで目を見開いた瞬間に、一粒だけ湿った地面に落ちた。