ある日、



学校に来て、教室へ続く階段で、



俺は彼女を見つけた。




彼女、佐伯悠里は、



俺と同じクラスのやつ。



女に特に興味のない俺が、女の名前を覚えてるなんて、奇跡だ。



ってそんなことはどうでもよくて。



同じ教室に行くんだから、俺と同じ場所を歩くはずなんだが。



なんかな、階段上るのめっちゃ遅ぇんだよ。



で、追い抜こうと思って横を通り過ぎようとした時―――



「ひゃっ!?」



「!!」



足を踏み外して倒れそうになる佐伯さんを、



俺は、咄嗟に抱き止めていた。



じゃなきゃ、助けられなかったし。