そして、いそいそと帰る準備を進めていると、



「佐伯さん」



いつも遠くで聞いていた、



あたしの大好きな声が、あたしの名前を呼んでいた。



「えっ…み…、大河くん?」



いつもりっちゃんと話す時は“弥織くん”って呼んでるけど、



本人の前では、“大河くん”って呼ぶ。



だって、名前で呼ぶのって…、なんか馴れ馴れしくて迷惑かなって思っちゃうから。



って、それよりも。



「どうしたの?」



弥織くんから話しかけてくるなんて、今までなかったのに…。