「・・・ただいまぁ。」
重々しく、家のドアを開ける。
「姉さんお帰り・・・って、
なんでそんなにオーラ黒いの?」
ああ、そうなんだ・・・。
私、今そんなに暗いんだ・・・
放っといてくれよお・・・架音・・・
「黙ってないで、何があったか話してよ!!」
「架音には関係ないことだもんっ!」
あっ・・・私、ちょっとムキに
なっちゃったかも・・・。
「ごめんね・・・架音。
私、少し疲れてるかも・・・。」
今の私の気持ちは、自分で考えても
よく分からない。
「姉さん、恋してるの?」
・・・っ、この子は何言ってるの?!
「しかも、一目惚れってヤツ?」
どうしよう・・・言い返したいのに、
何も言えない・・・。
「姉さんの思ってることなんて、
家族なんだから、なんでもわかるよ?」
もう、全部言っちゃおうかな・・・
「私ね、この前お父さんの帽子を拾ってくれた
男のコが、一緒のクラスだったの!
それでね、授業を抜け出して、おしゃべりして・・・」
あれ、目頭が熱くなってきた
「ゆっくり話をしたかった、って言われて、
すごくうれしかった・・・でも、
うっ・・・うっ・・・ぐすっ
なぜか悲しくて・・・!!」
架音はゆっくり私の頭を撫でてくれた。
どっちが年上なのか分かんなくなっちゃう
「・・・で、その理由ってのが、
姉さんは嫌だったんだね。」
「うん・・・、昔はお父さんのこと言われたら
すごく嬉しかったのに・・・、
成長しちゃったからかな?」
「もう、いい加減気づきなよ。
ホントは、気づいてるハズでしょ?」
架音はそう言って、部屋を出て行った。
うん・・・。私だってもう気づいてる・・・でも、
この気持ちを認めちゃったら、すごく切なくて
・・・すごく苦しくなっちゃうから・・・。
