「・・・痛いって、大翔君っ!」


私は図書室の前で、大翔君の手を振り払った。

「ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど・・・。」

・・・。大胆に連れ出したり、
こうやって、いきなりしゅんってなったり・・・
大翔君っていう人が、イマイチよくわからない。

「と、とりあえず、何故さっきみたいなこと
 したの?」
「それは・・・、白百合さんに
 できる限りのこと、したくって・・・。」

どうゆうこと?

「俺もさ、実は小3の頃、東京から転校
 してきたんだ。だから、境遇が似てるし
 何か俺もあの2人以上にしてやりたいな、って・・・」

そういえば、大翔君は標準語を使ってるもんね。
でも・・・

「どうして、私を教室から連れ出したの?」
「えっ、それは・・・」

急に大翔君の顔が赤くなった気がする・・・

「ゆっくり話したかったから」
「え?」

大翔君は、すごく優しい笑顔になって





「君のお父さん、俺の親父の部下だからね。
 ちょっと興味あったんだ。」




・・・ちょっと待って、なんかすごく
期待はずれ・・・って、
私、何に期待してたんだろう・・・?

「もう、そろそろチャイム鳴るし、
 教室に戻ろうか。次の授業は中センだし、
 サボるとめっちゃ怒られるからな」

「・・・うん」

大翔君は前を歩き、
私はその後ろをついていく。

ちょっぴり、切ない気持ちで・・・。