自己紹介が終わって、私は席についた。
窓側から2列目の、後ろから2番目。

そう・・・あの人の隣。

「百香です。よろしくお願いします」

「ああ・・・。」

・・・とそこへ

「あ~、もう!大翔あいさつくらい
 ちゃんとしなよ!!」

見た目完璧ギャルの子が声を上げた。

「あ、ウチは桜 菜々。よろしくねっ」

「あ、はい。よろしくお願いします。」


桜 菜々(さくらなな)ちゃんは、
私の前の席の子。

「オレは中西 桃也!!よろしくー!」

・・・さっきの金髪の子が、
後ろから叫んできた。

「桃也って書いて、「とうや」って
 読むんやー」

なんか、私の席の周りは、いい人ばかりだな。

「百香、わからんことあったら、
 ウチになんでもきいてな」

「いや、オレが教えるわー!!」

「オレや!!」「ウチや!!」

あははっ。子供の喧嘩みたいだな
そう思って、私が2人を微笑ましく見ていると・・・

「お前ら、ホントうるせー」

しーん・・・。2人が静かになった。と思ったら


「なんなん?!大翔!!ウチらのどこが
 うるさいん!!?」
「そうや。自分だけいつもカッコつけて!!」


大翔君は、ひと呼吸おいて・・・


「俺がこいつに色々教える。今から校舎、案内してくる」

って、ちょっ!腕引っ張らないでよ!!
今、授業の真っ最中だしっ・・・

「先生、ちょっと行ってきます」

大翔君がそう言うと、国語の先生は
右手でグーマークを作ってきた。

「若いって・・・ええなあ」

とか、クラス全体に聞こえる声で
つぶやきながら・・・。