「え、何、ここ・・・。]


電車に揺られ、数時間・・・

駅を出て見えたのは、前とは
明らかに違う世界。


たしかに、コンビニはあるし、お店もある。
でも・・・、ちょっと古くさいような。


「ここはね、パパの出身地なんだよ。
 今日は日曜日だし、いろいろ見てまわろうか。」





私とお父さんと架音は、この町を
散策することにした。

「今日もええ日やなー。」「ほんまや、ほんまや。」
「なんやー、今日は洗濯物がよう乾くでー。」

おばあちゃん達が、話に花を咲かせている。

「お父さん、ここの人たちは、
 どんな方便を使っているの?」

「伊勢弁だよ。」「何それ?」

「まあ、近いのは大阪弁かな☆」


そんな話をしていると、ひゅうっと風が吹いて・・・

「あ、パパの帽子、飛んでっちゃった☆」
「あ、あの・・・」

そこには、お父さんにに帽子を差し出す私と同じ歳くらいの
男の子がいた。黒髪に、爽やかな髪型の・・・。


そのとき、この男の子が私にとって
大切な人になるなんて・・・思いもしなかった。