2-Eの教室に入ると、
女子たちが一斉に
私たちのまわりに集まってきた。

・・・正確には
菜々のまわりに、だけどね。

「菜々ぁ、おはよぅ!」
「ちょっとー、菜々ぁ、
 あたしの話聞いてよぉ!」
「今日もかわうぃ~!!」

菜々って、人気者だな・・・

「ごめん、百香。
 ちょっとあの子らのとこ 
 行ってくるわー」
「うん、分かった」

とは言ったものの・・・

寂しくなっちゃうなあ。


私は自分の席につき
1限目の用意をした。

隣では、大翔君が
顔を机に伏せて寝ている

「白百合さんっ!」

いきなり声をかけられた。

「・・・桃也君?」

桃也君はにこにこ
笑っている。

「白百合さん今1人やから
 ラッキー♪って思って」

相変わらず子供みたいな
桃也君。

「へ?ラッキーって?」
「ラッキーはラッキー!」

・・・ほんと、子供。

「桃也君、私に何か用があるの?」

あ・・・、イヤミな言い方に
なっちゃったかも・・・

「あるよ!一緒におりたいなって
 思って・・・」

桃也君は、少しうつむき加減に
そう言った。

なんて答えよう・・・

「あ、もうチャイム鳴るわ!!
 俺、ごめんな。呼んどいて」

桃也君はそそくさ後ろの席に
座った。