私と菜々ちゃんは、
二人ならんで教室までの廊下を
歩いている。
「ごめんなー、ウチのいとこが
あんなアホで」
「ううん!全然!面白い人だよね」
内心、ちょっと怖かったけど
菜々ちゃんのいとこだもん。
いい人のハズだよ。
「ウチ、今優香と同居しとるんさー。
あいつ、家出少女でなー、
千葉から1人できたんや。」
1人で千葉からって・・・
「あいつ、万年反抗期やからなー。」
「えっ、どうゆうこと?」
菜々は、ちょっと苦笑いして
「優香のママ、すごい
ステージママなんさ。
優香は毎日毎日、
モデルやらドラマやらの仕事仕事。」
たしかに、優香ちゃんには、
そうゆう華やかな仕事が似合う
かもしれない。
「・・・でも、可哀想だなあ。」
「そうやよな。」
菜々ちゃんは少し間をあけて
「あいつ、仕事自体は
好きなんやで。
母親の言いなりになるんが
昔から嫌いなだけで」
ああ、だから万年反抗期なんだ・・・
「『りんごちゃん』って
ドラマ、しっとる?」
「うん!もちろん」
私が5歳くらいの時に
流行ったドラマだ。
「あれ、途中で少し休んでたやろ?」
「あの時は見れないのが悲しくて
泣いちゃったなー」
泣きすぎて、なだめるのに
時間がかかったって
お母さんに言われちゃったな。
「それ、優香がウチんとこに
ついてきて、三重まで
脱走してたからやで」
「・・・。」
優香ちゃんは、
行動力がありすぎる人なんだな
・・・って思った。
