喋ったこともない男子《松井祐》に肩を抱かれ



目の前にいる、松井君を好きであろう女子が



私をすごい勢いで睨んでくる。




いったい、この状況はなんだろう。





少しの沈黙が続いたのち



女子の方が



「誰よ、その子」



とつぶやいた。






松井君は学校でもイケメンと有名。



だから私も名前くらいは知っている。



でも、松井君の方は私の名前を知らない。





この質問、どう切り抜けるのか。




松井君の方を見ると、ちょうど目が合い



「ほら、自己紹介しな?」



と微笑みながら言った。