「やあ、やっと帰って来たか」 河合は、にやりと笑うと、台所部分のシンクに、火の点いたままの煙草を放り投げた。 乾かないまま残っていた水分で、じゅっ、という音がする。 「どうだ、見付けたか。ここら辺にいる奴は」 「いない。まだ、どこにもな。そっちこそどうなんだよ」 「目下捜索中だ。……だが、その進みも、お前の働き次第だな」 剣太は靴を脱ぎ、鞄を床に下ろした。