姉さんの友達はフランケンシュタイン 孝の苦労事件簿②

 


しかし、


「……ちっ」
 

ドアノブを捻ると、かけたはずの鍵が開いていた。
 

こういう時は、どういう事になるのか、よく分かっている。


「何の用だ」
 

ドアを開けながら、健太は冷たく言った。
 

中で、悠々と煙草を吸って自分を待っていたのは、組織の人間だった。
 


男は『河合』……と名乗りはしたが、


どうせそれは本名ではないのだろうと、すぐに分かった。
 


彼は、名前を捨てた人間だ。


そういう、においがした。