(あり得ない。……俺は、何を考えている) 剣太は、自嘲しながら階段を上った。 自分を拾った『組織』に、買い与えられたマンション。 狭くも広くもない、何も無いただの『空間』。 愛着があるわけではないが、かといって他に行く場所も無いので、 剣太はいつも真っ直ぐにその家に帰っていた。