だけど、そうではなかった。 小夜子の様子は、傷や眼帯に対する、煩わしい好奇心でもなかった。 ただの、クラスメイト。お友達。 それだけの関係で紡がれる、適度な親近感と優しい態度。 どうしてだかそれは、彼を不安な気持ちにさせた。 不意に自分の中の何かが、崩れそうになるのだ。 恐怖……。 長い間、忘れていた感覚だった。