「分かった」 俺が返事をすると、姉さんは鞄を担いだ。 姉さんは大学になってから、俺より先に家を出なければならなくなった。 通学に、普通の学生よりも時間がかかる為らしい。 「じゃ、行ってくるわね」 「途中で倒れないでね」 「やだ、大丈夫よ」 姉さんは笑った。 (どうかな……) 心なしか、姉さんの表情も力無い。