小夜子は彼に微笑みかけると、周りがざわついたのも構わずに、 さっさと教科書を広げた。 「よろしく」 挨拶代わりに小夜子が小さな声で言うと、 彼は驚いた様子だったものの、軽く会釈を返して来た。 (何だ、全然普通の子じゃない) 小夜子は少し安心してから、黒板の文字に目を走らせる事に集中した。 それが、大学生活の始まりだった。