彼はどうやら、少し前にバイトを始めたらしい。 通学路にあるケーキ屋の前で、アルバイト募集の広告を見たという。 そのケーキ屋は、女子校からも近いので、 恐らく募集はその女の子を対象にしていたものとみられるが、 広告には性別の事が書かれていなかった。 そこで、豊丸はある事を思い出したという。 昔、ケーキ屋でパートをしていたという彼の母の、 『余ったお菓子とか、持ってっていいよー、 なんて言われて、あの頃は毎日家に甘いものがあったわ』 という一言だ。